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ヤドカリは自分の背負っている貝殻が

小さくなってくると、もう少し大きい貝殻に

衣替えするという。

 

なんて合理的な生き物だ。

 

昔、夜店で買ってきたヤドカリを飼っていた。

しばらくして自分の貝殻を脱いで

それこそ裸でうろちょろしだした。

ヤドカリから貝殻とったら可愛くもなんともない。

ちょっとしたフナムシにすぎない。

 

母親とも相談したのだが

気持悪いから、生きたまんま生ゴミと一緒に捨ててしまった。

なんともむごいことしたもんだ。

あのヤドカリはいったいどうなったのだろうか?

卵の殻でもかぶって生きてたのだろうか?

 

・・・とかいうノスタルジックな思い出はさておき、

今さらながら、ヤドカリの生き方に憧れる。

 

服が小さくなればしばらく裸で生きて、

適当な服があればそれを着る・・という意味ではない。

 

すごく大きな事言わせてもらえば、

マイホームなど持たずに、ホテル暮らしをしたいということだ。

 

なんて身軽な毎日だ。

掃除、ベッドメイキングは毎日やってくれる。

洗濯は頼んでおけばいい。

朝飯はルームサービスでベッドの上で食べる。

ついでに新聞も運んできてくれる。

ドアマンが愛想良くいつもドアをあけてくれる。

「世界はどうやら、まだ滅びてないみたいですよ。」

なんて軽口をほざいてくれる。

 

飽きたら次のホテルに移ればいい。

スーツケース一つで。

 

自分の家って、モノにあふれていて

時たま全部捨ててしまいたくなる。

本や漫画本、ビデオやCDやDVD嬉しげに並べても

圧迫感がある。満足感がない。

全部パソコンの中にいれてしまいたい。

 

うれしげに買ったフィギュアなんかならべた瞬間に

飽きる。どんなところにも埃がはいってくる。

これもパソコンにしまってしまいたい。

 

服はなんだかんだで気に入ってるのは少しだ。

同じスーツを6着欲しい。迷う時間がもったいない。

 

自分の家は何かと経費がかかる。

その割に棺桶まで持ち込めない。

家に縛られると身軽な気持がしなくなる。

 

ホテル暮らしは何者にも縛られない

自由と身軽さがある・・・

 

人間なんて謙虚に考えれば、座って半畳、寝て一畳なのだ。

ホテル暮らしに憧れるのは何も

高級な暮らしを求めているのではないのだ。

体ひとつの気軽さと生き様に憧れるのである。

 

でも、やっぱり最後は自宅の縁側で死ねたら最高だなあ。

春先に縁側でうたたねしながら、いつのまにかみたいな・・・

鼻先にチョウチョとまってたり・・・

 

考えるとまあ、人間、この世で生きている事自体が仮住まいなのだ。

 

やれることやって、身の回りこぎれいにして、何かと感謝して生きよう。

 

とヤドカリは言っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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61
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1963/01/23
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自己紹介:
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